BAMUのつぶやき

日本人だから感じること・・・

手術を終えて・・・

額田王


体調が悪くなって3年経った。

完治ではないけれど、病名が判り手術が終わり、やっと活字を読む気になってきた。

 

そんな時

あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る

この一首で、老いたこの身と心が熱く動きだした。
万葉集の和歌には、この様な恋の歌は多いのだけれど、「袖を振る」という意味を知った今、この動悸は止まらない。
袖振り合うも他生の縁とは言うけれど、道を歩いていて見知らぬ人とすれ違うのも、前世からの因縁だといつも思っていた自分にとって、こんな和歌との出会いもまた『縁』なのだと思ったのです。

作者は額田王(ぬかたのおおきみ)。生没年不詳ではありますが、飛鳥時代の日本の皇族・歌人です。大海人皇子天武天皇;?~686)に嫁ぎ一女をもうけたのですが、その後彼の兄である中大兄皇子天智天皇)の妃となっています。当時は一夫一婦制ではありませんし、婚姻に対する考え方も現代とはまったく違っていましたから、この3人がそれぞれ複雑な感情を抱いて過ごしていたであろうと思います。
大海人皇子大化改新、白村江の戦の後、国政の表舞台に立ちました。兄天智天皇を手伝い、大化改新後の日本政治の確立に尽力したと思われます。しかしその兄とは、皇嗣問題などが原因で政治の中心から遠ざかっています。
そして天智天皇崩御後、吉野に移り、天武元(672)年側近を連れ、美濃へ向かい、東国を基盤として近江・大和で大友皇子軍を倒した『壬申の乱』の翌年、飛鳥浄御原で「天武天皇」として即位しました。天智天皇の基本政策を受け継ぎ、飛鳥浄御原律令の制定や、『帝紀』『旧辞』の編纂、八色姓の制定、官位48階の制定など、律令体制の確立に注力しました。

さて、大化の改新についてちょっと調べてみました。
自分が中学生の頃に習ったことは、飛鳥時代645年に中大兄皇子中臣鎌足らが蘇我入鹿を宮中にて暗殺して蘇我氏蘇我宗家)を滅ぼした政変であるというだけ事でした。
今は、乙巳の変(いっしのへん)に始まる一連の政治制度改革が「大化の改新」であり、「乙巳の変」は「大化の改新」の第一段階だと見るそうです。
645年6月、中大兄皇子(626~672)らは宮廷での儀式を装い、蘇我入鹿蘇我馬子の孫)を討ち取りました。この事件が「乙巳の変(いっしのへん)」です。
622年、摂政「聖徳太子」の死により大豪族である蘇我氏を抑える者がいなくなり、蘇我氏の専横は甚だしいものになりました。
蘇我入鹿の祖父である蘇我馬子は、神道を擁していた物部氏との戦に勝利すると、聖徳太子(574~622)とともに仏教を中国から取り入れて国を治めようとしました。
そして馬子は天皇に自分の娘を嫁がせることで、外戚として国の実権を握りました。その後、蘇我氏は馬子の子供である蝦夷、孫の入鹿と3代にわたって権力をふるっていたのです。
中大兄皇子は、父・舒明天皇と母・皇極天皇の間に生まれた皇子です。蘇我氏の横暴を快く思っていなかった皇子は、中臣鎌足らと共に蘇我入鹿を暗殺し、権力を天皇のもとに取り戻します。翌646年に「改新の詔」を発令し、律令国家の礎を築きます。中大兄皇子の目指した政治は、天皇による中央集権国家を築くことでした。孝徳天皇のもとで皇太子として政務を執り行い、のちに天智天皇となりますが、壬申の乱で弟の天武天皇に敗れました。
この672年に起こった古代日本最大の内乱が『壬申の乱』です。この事件については諸説色々あります。そして数多くの小説や映画に漫画が描かれています。それほど古くから愛されてきた題材であり、心動かす古代ロマンを感じることができるからだと思います。
幾つか挙げてみますと、
井上靖額田女王
黒岩重吾『天の川の太陽』
井沢元彦『黎明の反逆者』
豊田有恒『大友の皇子東下り
梨木香歩『丹生都比売』(におつひめ)
樋口茂子『小説 壬申の乱―星空の帝王』
倉橋寛『赤き奔河の如く』
漫画;里中満智子『天上の虹-持統天皇物語』等々です。

 この事件は、天智天皇大海人皇子兄弟が一人の女性を争った原因が大きいものだと考えるに至ったのですが、三角関係のもつれがこの政変に繋がったと感じるだけなのです。
額田王が絶世の美人であったというのは小説などでは通説となっています。彼女に関する記述がごく限られている以上、その容貌について物語る史料がありません。三角関係を想定させるような和歌から、彼女自身のイメージが後附けされたものでありますが、彼女が美女であろうとなかろうと。この一首から得られるイメージは、1500年もの時間の隔たりがあっても理解できるものとして考えるだけです。

あかねさす紫野行き 標野(しめの)行き 野守は見ずや君が袖振る

 時間があったら、もっと調べて想像力を逞しくさせていきたいものです。

*参考にさせてもらったもの
https://benesse.jp/contents/history/taikanokaishin/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%99%E5%B7%B3%E3%81%AE%E5%A4%89
https://4travel.jp/travelogue/10834654
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A3%AC%E7%94%B3%E3%81%AE%E4%B9%B1#%E9%A1%8D%E7%94%B0%E7%8E%8B%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8B%E4%B8%8D%E5%92%8C
https://intojapanwaraku.com/culture/93134/